家づくりでのコストの考え方
長期的なコスト意識をもつ
家を建てるなら建築費を少しでもおさえていと思うのは当たり前のことです。
ただでさえ、家は高い買い物なので、少しでも安くおさえたいと思う方が、ほとんどだと思います。
でも、家を建てたあとに、「こんな費用がかかるのか」と驚く方が多いのが現実で、
最初に見える費用ばかり気にして、後からかかる見えにくい費用を考えない方がほとんどです。
長持ちしない家は建築時は安くても、結果的には高くついてしまいます。
住宅は40年、50年と長きにわたり住むものなので、長期的なコストの考えをもつことが重要です。
家づくりのコストダウンと
やっていけないコストダウン
家づくりには、長期的なコスト意識をもつということが大切です。
でも、少しでも金額はおさえたいと思う方の為に、
家づくりのコストダウンと
やってはいけないコストダウンをまとめてみました。
家づくりのコストダウン

1.建物の面積を小さくする
建物の延べ床面積を減らすことは大幅なコストカットになります。しかし、コストカットを気にしすぎて必要な空間まで減らしてしまうと、狭さを感じたり、暮らしにくかったりで、後悔するケースも少なくありません。
暮らしやすさとコストバランスを考えながら理想の建物面積を考えることが大切です。

2.シンプルなデザインにする
建物や屋根形状をシンプルにすることで、建物費用をおさえることができます。具体的には、次のようなことが重要です。
- 1階と2階の床面積が同じ「総2階」にする
- 建物の凸凹を極力少なくする
- 屋根の形状で片ながれなどのシンプルな形にする
同じ建物面積でも、複雑な建物の方が、壁量が多くなり、そのため、材料費、施工の手間などが増えるため、費用がかかってしまいます。
また、シンプルな建物の方が、耐震性も確保しやすく、屋根形状も簡単になる為、雨漏りしにくくなります。

3.窓の数を減らす
窓の数減らすことは、費用を抑えるためには重要なポイントです。あと、窓の大きさにこだわることも大切です。
窓の数や窓の大きさにこだわることは、費用をおさえること以外に、断熱性があがる家になるため、快適で光熱費がおさえられ、壁の面積が増えるため、家具やインテリアの配置が容易になり、また、掃除が楽になります。

4.水回りをまとめる
キッチン、浴室、洗面所、トイレなどの水回りを1か所にまとめることで、費用をおさえられるケースもあります。
水回りの配管を短くすることで材料費、施工費を削減でき、水回りがまとまっていると効率的な動線が確保でき、暮らしやすさも向上します。

5.ドア、扉を少なくする
1か所数万円の費用ですが、不要なドアや扉を減らす方法もコストダウンにつながります。
子供部屋のクローゼットは扉をつけず、オープンにするとか、他人がこない収納入口などは、扉ではなく、ロールカーテンなどを代用してもよいと思います。

6.バルコニーをなくす
バルコニーも、意外に費用がかりやすい部分なので、なくすという方法も1つの考えです。外部になるので、床は防水仕上げが必要になり、外壁、手すりなどが増えるため、費用はふえます。
また、雨漏り関係で、将来メンテナンスが必要にもなります。
でも、どうしても、布団を干したい、洗濯物を干したいという方は、バルコニーの面積を極力小さくするのもよいと思います。
やってはいけないコストダウン

1.耐震等級を下げる
耐震等級とは地震に対する建物の強さ(耐震性)を表す指標です。日本は地震が多い国なので、特に、家の耐震性の性能は非常に重要です。
当然ながら、万が一の大地震の際、家族の命や財産を守るため、建物構造体の耐震の為の材料や、壁の面積を減らすことはできません。安全に関わる部分のコストダウンは慎重に検討に検討する必要があります。

2.断熱等級を下げる
家の断熱性性能を示す指標で、等級を下げれば建築の初期費用はおさえられますが、断熱性能が低い家は、夏暑く、冬寒いといった、すごしづらい家になってしまいます。
光熱費にも関わるところで、断熱性と気密性の高い住宅は、少ないエネルギーで冷暖房が効き、夏も、冬も快適で、反対に隙間だらけで熱が逃げやすい家では、エアコンをフル稼働させてもなかなか涼しくならず、電気代がかさんでしまします。
断熱等級の高い住宅の場合、電気代が月1.0万円~1.5万円ぐらい安くなることから50年住めばその差は、600万円~900万円にもなります。
建築時の初期費用が多少高くても、長い目でみれば、得をする家になるので、安易に等級を下げるのは避けるべきです。

3.窓の断熱性能の軽視
窓の断熱性についても、床、壁、天井の断熱性能と同様、非常に重要になります。窓の断熱性能が低いと、そこから熱が逃げやすくなり、せっかく断熱等級を上げても、効果は半減してしまい、冷暖房効率が悪く、長期コストがかさんでしまいます。
窓の性能も軽視せず、適切なグレードを選ぶことが重要です。

4.安価な屋根材・外壁材を選ぶ
安価な屋根材や外壁材は一見お得に見えても、雨や風、紫外線の影響を受けやすいものを選んでしますと将来、メンテナンスに費用がかかるおそれがあるので注意が必要です。
雨風による劣化、雨漏りのリスク、汚れがつきやすく美観がそこなわれるなど、屋根、外壁は建物を守る大切な部分になるので、初期費用をおしまず、耐久性のある素材選びをすることが重要になります。
住宅はトータルコストで考える

家づくりの「初期コスト」として、建築本体の工事費は全体の7割で、それ以外に付帯工事が2割、諸費用、その他費用が1割ぐらいがかかるといわれています。
付帯工事費とは、解体工事、造成工事、基礎補強工事を行う以外に、インテリア費用、電設関連費用、エクステリア費用などが必要になります。
諸費用として、登記費用、印紙代、住宅ローン手続き費用のほか、火災、地震保険などもかかります。
その他費用としては、仮住まい費用、引っ越し費用、式祭典費用などです。
これらのコストは家を建てるための初期コストで、建てた瞬間がゴールではなく、むしろここから見えないコストが発生していきます。
毎月かかる維持費である光熱費である、電気代、ガス代などで、「ランニングコスト」と言われていて、家の性能によって驚くほどの違いがでます。
長い間住んでいると、将来必ず家のメンテナンスが必要になり、外壁の塗装、屋根の修理、設備の交換など、「メンテナンスコスト」が発生します。これは高耐久の素材、仕様を選ぶことで、将来このコストがおさえられる可能性があります。
トータルコスト=「初期コスト」+「ランニングコスト」+「メンテナンスコスト」で、「トータルコストで考える」とは、建てて終わりではなく、住んでからも安心、快適、経済的に暮らせる家づくりを考えることがとても大切なのです。
ライフプランの作成
ファイナンシャルプランナーによる
ライフプラン(人生設計)の作成も重要なことです。
生活費、教育費、老後資金なども含めての人生でかかるお金、資産バランスを考えることで
「家づくりのコスト」の考え方が理解でき、結果的に家計負担が大幅に削減でき、
逆に、大きく資産構築を増やす可能性さえあります。
子供の未来を守る
家づくりは、これから生まれてくる、もしくは大きくなっていく子供たちのためでもあります。
子供たちの未来を見据えて、
少しでも環境負荷が少ない住まいを提供しなければならないと思っています。
家族がその家で毎日楽しく、
和気あいあいと過ごす姿を想像して下さい。
そして、建築時の建物価格だけで判断するのではなく、
40年、50年と長きにわたりその家が存続する限り、
「この家に何年、どう暮らすか?」
に対して意識を向けて、この先の未来をイメージして、
楽しい家づくりをはじめていただきたいと思っています。